2019.12.03

市原で設計事務所を開くこととは

ここ市原で、地元に根ざし様々な分野で活動をする人の輪が広がっています。そんな彼らに光を当て、活動を応援するイベント「市原がんばりびと」。
既に頑張っているプレーヤーの活動から学び、新たな人の繋がりをつくることで、これから地域で何か始めたい人の背中を押したいという想いも込められています。
第1回目はCo-satenの設計者でもある建築設計事務所kurosawakawara-tenの黒澤健一さんに豊かな地域を育む新しい建築についてお話いただきました。


kurosawakawara-tenは、市原市の西国吉にある吉野台団地という郊外戸建団地の一角にあります。生まれ育った団地に空き家が増え、住民の半数が60代を上回っている状況に早い段階から危機感を覚えた黒澤さんは、故郷を何とかしたいと強い想いを抱き、地元で設計事務所を開きました。かつては山であり、観光地でも商業地域でもない郊外団地の再生は難しさもありますが、地域との関係性を大切にしたクリエイティブな活動をしています。

黒澤さんが生み出したコンセプトは「Urban Offset アーバン・オフセット」。住宅を新築して環境に負荷をかけた際に、代わりに空地や空き家を活用することで問題解決をするという考え方です。また、環境問題の3R(Reduce・Reuse・Recycle)が一般的ですが、黒澤さんは、建築の3RーRenovation(改修)・Rebuilding(修繕)・Republic(公衆利用)を新たに打ち出しました。

そのアイディアに基づき、黒澤さんは、団地内の空き家を「キタグチハウス」というゲストハウスに転用したり、「ハヤシハウス」を修繕して打ち合わせ・喫茶スペースをつくったり、長年放置された空地を「ヒトサトファーム」というシェア農園として再利用したり、団地に命を吹き返しています。

また、kurosawa kawara-tenはハード面だけでなく、地域との関わりを強めるソフト面のデザインもしています。その取り組みの1つが週末隔週で開催される「拡張設計」。
大学生やOBなどkurosawa kawara-tenに関わったことのある人に、設計事務所の実務を経験できる機会を提供しています。
また、ワークショップを行ったり、様々なテーマを学ぶ勉強会を開いたりすることで、彼らと地域の人々との交流の場をつくり出しています。
多様なバックグラウンドの人を巻き込むことで、人とのつながりだけでなく、生き方や人生観など選択肢も「拡張」されるとても面白い取り組みです。


黒澤さんの今後のビジョンですが、「Kogai Danchi of Tomorrow」というコンセプトに集約されます。
イギリスの有名な建築家ハワードの著書「Garden Cities of Tomorrow」(明日の田園都市)に倣い、都市機能を備えた郊外団地の魅力と里山の魅力の両方を享受できる地域づくりを構想しています。


一般的な都市部のオフィスビルにある機能を団地に分散し、木工所、アトリエ、学生寮など様々な場をつくり出すことで、地域に多様性や経済性が生まれることを目指している黒澤さん。
その一方で地域の人々がもっと里山に触れ、その恵みを受けるために黒澤さんが考え出したのが “里山享受権”。里山にもっと自由に入って虫取りやたけのこ掘りなどの自然体験ができたら、里山を活かしていくことができるのではないかという、黒澤さんの提案が参加者の皆さんの共感を生みました。
日本の各地で耕作放棄地や休耕田が増え、農業に関係している人が減ってしまっていますが、「“里山享受権”をつくることで、いろんな人が里山や農業について考えるきっかけになるかも」「もっと里山に関わってくれるために何ができるか考えよう」と真剣に考える参加者の方々の姿がとても印象的でした。


このように、建築家としての黒澤さんの仕事は多岐に及び、地域と密接に結びついています。建築と聞くとハードのことをイメージしがちですが、コミュニティや地域づくりなどソフトの面も重要なことを学ぶことできました。
人々の生き方や暮らし方を豊かにし、自然環境の一部になるような建築を目指す。これからもそんなkurosawa kawara-tenと共に市原で新しい挑戦をしていき、市原で活躍している人たちを応援していきます。

Co-satenでは“こんなことをみんなとシェアしたい”、“みんなで集まって考えたい”など、ちょっとしたことでもイベントの開催が可能です。(初めての方で、どう準備したらいいかわからない方でもスタッフが一緒にコンセプトを考えます)
ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

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