2019.12.16

市原の里山体験

市原市の中ほどに位置する米沢の森には、山菜を採ったり、薪や炭などの燃料や肥料となる落ち葉を拾ったり、かつては農村の人々の暮らしを支えてきた里山があります。


そんな里山も近年人の手が入らなくなり、荒れてしまっています。この状況を危惧する「米沢の森を考える会」の代表、鶴岡さんが、里山の現状と里山を守るための活動をもっと多くの人に知ってもらおうと、Co-satenで「米沢の森の未来を考える会」を定期的に開催しています。

過去のイベントの様子を知りたい方はこちらからご覧ください。
https://co-saten.com/news/yonezawaforest_vol2/

 先日開催された「米沢の森の未来を考える会Vol3」では、小湊鉄道の石川晋平社長に「鉄道と森の関係性」をテーマにお話いただきました。

小湊鐡道は、養老川と並んで房総丘陵を縫うように走るローカル線です。100年も前から里山での人々の暮らしに寄り添ってきました。石川社長は、小湊鐡道を先人の苦労と偉業の上に成り立つ「創立100年のベンチャー企業」であると称し、その想いを引継ぎ様々な挑戦をされています。中でも、開発されてきたアスファルトの駅前を土や植物が広がる自然に戻すという「逆開発」は、時代の流れの逆をいくユニークな発想です。もともとこの地にある森や里山を駅まで再びつなげることで、「暮らしの中にある鉄道の風景の質」が高まっていくと石川社長は語ります。小湊鐵道は自然と共存することが必要であり、地域の人や文化との密接な関係を大切にしたいという想いが会場の共感を生みました。


更に、こうした里山の景色が守られている背景には、里山連合の存在があります。草刈りや菜の花の種まきなどを誰に頼まれるわけでなく、自ら進んで行ってきました。そんな里山連合は堅固にまっすぐ活動に勤しむも、自然や地域を想う優しさのある“上総ごころ”があるとおっしゃる石川社長。このような地域の行事に誰よりも積極的に参加し、体を動かす石川社長も上総ごころの溢れる人であると感じました。

 

さて、米沢の森ではお米の収穫体験ができる「米作り体験-稲刈り編-」が9月の上旬に行われ、東京から参加してくれた人や、親子で参加する方々もいて、地域や世代を超えてみんなで手刈りの稲刈りを体験することができました。

今年で95歳のおばあちゃんがみんなの「大先生」。
腰を曲げながらも、一度に大量の稲を素早く刈り取る熟練の鎌使いに参加者一同目を見張りました。
鎌の使い方を教わりながら、みんな一生懸命汗を流しながら稲を刈る姿が印象的でした。 
普段、稲穂に触れる機会のない子どもたちも、地域のおじいちゃんやおばあちゃんに教わり、目を輝かせながら稲刈りや脱穀を体験することができました。


丁寧に手で稲を刈り進めていくのは大変な作業でしたが、みんなで力を合わせて何とか終わらせることが出来ました。

昔は地域一体で「今日はあそこの家の稲刈り、明日はあそこの家の稲刈り」と、協力して稲刈りを行なっていたそうです。昔の人は稲を全て手刈りで行っていたことに驚くと同時に、こうした労力のかかる作業は集落が協力しながらこなしていく地域の結びつきがあったのだと学びました。

 

稲刈りが終わって少し経った11月上旬に、米作り体験最後のプログラム、「米作り体験-刈ったお米を食べる編-」が行われました。台風の影響で延期となってしまいましたが、里山景観ウォークと合わせて開催され、沢山の方々が参加されていました。

 里山に足を踏み入れると、倒木や土砂崩れの跡など、自然災害の脅威を目の当たりに。

その一方で、「この植物は天ぷらにするとおいしいよ」、「ここの頂上からは空気が澄んでると東京湾と太平洋両方を見ることができるんだよ」と森の保全活動をしている鶴岡さんがたくさんの魅力を教えてくださり、参加者の皆さんも新しく知ることばかりで、しっかりと耳を傾けていました。


山歩きで体を動かしてお腹を空かせた後は、お待ちかねの昼食です。

地域のおばあちゃんたちが作ってくださった自慢の豚汁とサツマイモご飯。この日はいつもより寒く、里山の中を歩き回った後のご飯は格別で体にしみわたります。そのお米が自分が刈ったお米であるということもあり、より一層美味しく感じました。


里山の自然に触れ、どうやってお米ができるのかを学び、収穫したご飯を釜で炊いて一緒に食べるということは、普段経験できない貴重な体験だったではないでしょうか。

このように、「逆開発」に取り組む小湊鐡道や里山を守る米沢の森を考える会の想いに触れ、実際に米沢の森での米づくりや里山ウォークを体験することで、今私たちが抱えている里山の問題や未来について考えるきっかけになったと私たちは信じています。

来年も定期的に米沢の森と考える会を開催していきます。
ぜひ興味を持った方は来年参加してみてくださいね。

また、12月18、19日に米沢の森で「大地の再生」の方々による環境整備の活動があります。
「大地の再生」とは、その場にある自然素材を生かし、大地の気脈・水脈機能を整え、大地の呼吸を取り戻し、自然の循環機能を再生する手法です。
一般の方も参加可能なので興味のある方はぜひご参加ください。詳細はこちらから。https://www.facebook.com/events/548520369334632/

Co-satenでは“こんなことをみんなとシェアしたい”、“みんなで集まって考えたい”など、ちょっとしたことでもイベントの開催が可能です。(初めての方で、どう準備したらいいかわからない方でもスタッフが一緒にコンセプトを考えます)

 ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

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